【書評】こんな世界でも強く”よく生きる”ために。奴隷の哲学者エピクテトスの教え「人生の授業」を読んでみて。
こんにちは。きつねこです。
今回は書評していきます。
書評する本はこちら。
「奴隷の哲学者 エピクテトス 人生の授業」~この生きづらい世の中で「よく生きる」ために~
という本です。
元来、哲学的な本には興味はあったものの、「奴隷の哲学者」という部分に特に興味を惹かれAmazonでポチった経緯です
哲学の本と言っても、漫画のページもかなりあり、小難しい言葉なども殆どでてこにないので読書の負荷量はそこまで高くないのでおすすめです
個人的に強く印象に残った部分だけですが、要約しつつレビューしたいと思います
そもそもエピクテトスとはどんな人物か?
まず初めにエピクテトスという人物について少し紹介していこうと思う。
エピクテトスは紀元前50~60年頃に現在のトルコで奴隷の親から生を受けたとされています。
幼少時からローマのエパフロディスという主人に従えました。
エピクテトスが少年の頃、ストア派哲学者ムソニウス・ルフスの講義に出席する機会があり、それがストア派の哲学に触れる最初のきっかけでした。
年季が来て奴隷から解放されると、ルフスの元で哲学のを深く学んだとされています。
当時の皇帝ドミティアヌス帝の哲学者追放令をきっかけにローマを去り、活動場所をギリシャのニコポリスに移した。
そこで私設の学校を開き、死ぬまでその街で活動を続けたという半生だったようです。
エピクテトスの弟子たちがエピクテトスの教えを書物として残しており、それが後世まで影響を残すという形になったようです。
後のローマ皇帝のマルクス・アウレリウスが書いた「自省録」には、エピクテトスの教えなどに強く影響を受けている見られる文章が数多く残されている。
ローマ皇帝と解放奴隷と言う社会的地位では逆説的な二人が師弟関係にあったという話も面白い所だとも思う。
ストア派の基本的な哲学
ストア派の有名な基本的教えは「禁欲主義」です。
反対にストア派の逆の「快楽主義」を提唱したのがエピクロス派です。(ちなみに、エピクロス派の快楽主義は美食や性的快楽を目的とした主義ではないようです。書物などあまり残っていないようですが、興味のある方は調べてみて下さい。)
ストア派の話に戻しますが、「禁欲主義」主要となる教えに「自分がコントロール出来ることだけに意識を注ぐこと」があります。
これは、自分ではコントロールできないことは諦めるしかない。という前向きな諦めの考え方であるかなとも思います。
自分がコントロールできないことで、他人に何かを期待したり、生まれや環境、周りの人、運などに嘆いたり感情のエネルギーを割くのはやめましょうという考え方です。
奴隷出身のエピクテトスが言うことで説得力に重みがあります。
自分がコントロールできないことではなく、自分がコントロールできることにすべての意識を注ぐ。
マルクス・アウレリウスの自省録にその教えを端的に表した言葉を載せておきます。
おのが外に心を向けてさまようのをやめよ。内に、なにかなさんとする衝動を覚えたら、つねに正義にかなったことを顕現し、怠ることなく理知の能力を最良の状態に保て。
感情を外や他人に向けるのではなくて、出来る限り自分の内側を見つめるということですね。
瞑想やマインドフルネス的なものと共通点がある気がしますね。
「事実」は変えられないが、「解釈」は変えられる
「事実」は変えられないが、「解釈」は変えられるという教えは結構厳しめな教えだけど印象に残った。
例えば「失敗」という事実一つを取っても自信を失ってしまう人もいれば、上手くいかない方法を一つ学べた、と解釈する人もいると思う。
ストア派の哲学は「すべて苦しみの原因はあなた」としていて、事実があなたを苦しめているのではなくて、解釈があなたを苦しめていると。
まぁ、正直結構厳しめな教えだと思うし、苦しんでいる人にストレートに言える内容ではないけど、強く生きたい人にとっては考え方としては良いのかなと思った。
私としては、「低学歴」っていう事実はあるけど、解釈次第では「大学に通うお金が浮いたし、低学歴の方が人生チャレンジしやすくなる」っていう感じの解釈で良いのか?
要するに、どんな事実でも少しでも前向きな解釈をしましょう。っていう教えだと思う。
まとめ
・自分がコントロールできないことに意識を奪われない。
・コントロールできないことは前向きに諦める
・外に感情を向けるのではなくて、自分の内側の感情を見つめる
・「事実」は受け入れて「解釈」を変える
個人的に印象に残った部分だけをまとめました。
私としては、全ての話に納得は出来ませんでしたが、ストア派の哲学は現実を冷静に見つめたうえで前向きに考えようとしている哲学で結構好きな考え方でした。
エピクテトスの教えはシンプルで、自分の手で変えられることは何か。その反対に受け入れなければいけないものは何か。この文章に集約されます。
生まれが奴隷でもよく生きようとした人の哲学なので説得力がありますね。
厳しく感じる教えも多いですが、強く、よく生きたい、と感じている方は手に取ってみても良いと思います。